主婦やシニアの方の活躍創出部門

エントリーNO.02

上田市発 子育て世代女性の活躍の場をつくる
地方都市創生モデルプラン

<問い合わせ先>

一般社団法人ループサンパチ

TEL 0268-71-7322
http://coworking.hanalab.co/

<会社概要>一般社団法人ループサンパチ
〒386-0012 長野県上田市中央2-10-15 千曲錦ビル
TEL 0268-71-7322
<事業概要>コワーキングスペースの運営、子育て中女性の社会復帰支援、創業・就業支援・移住促進、事務所内託児所の運営

一般社団法人ループサンパチ

代表理事 井上拓磨さん(37)

愛知県名古屋市出身。大学院卒業後、大手印刷会社入社。退社後、奥様の故郷である上田市に移住。モバイルコンテンツの企画・制作のフリーランスとして地域で働くことの課題を感じ、コワーキングスペース「HanaLab.」を立ち上げるなど、地方の働き方の変革をテーマとして活動している。

子育て世代の女性が
イキイキと働ける場を創出した
進化系コワーキングスペース

「長野県で3番目に人口の多い市はわかりますか?」の問いに戸惑った。「実はここ上田市なんです。」長野県であれば、長野市、松本市というように各県の1番2番の市は知っていても、それ以降となると、地理に詳しい人でもなかなかわからないものだ。

「地方創生が叫ばれる中、県内での人口数が1番手2番手といった街は、東京などの大都市でのやり方がある程度通用しています。また限界集落と呼ばれる小さな町や村も、地域の資産をブランド化し成功しているとこがいくつもある。その一方で、県で3番手以下の人口が10万から20万の地方都市は、あまり尖った施策を打てず、結果的に有効な手立てを見いだせていないと思います。僕達の取り組みは、そんな地方都市の創生のモデルケースとなるのではないかと感じています」と語るのは、代表の井上さん。

長野県第3の都市上田市で、ループサンパチが2015年に開設した、女性向けコワーキングスペース「HanaLab.UNNO(ハナラボ ウンノ)」。ハナラボは、ワーキングスペースという「場所貸し」に留まらず、創業支援や人と人がつながる場でもある。中でも子育て中の女性をサポートするプロジェクト「ママカラ」は、地方都市に新たな雇用の場をもたらし、現在約40名のパートスタッフを雇用。子育てサイトの記事執筆などの仕事を、自分の状況に応じたシフトでこなしているという。

「地方都市は、大都市ほどの職種の多様性がありません。出産や育児で一度職場を離れたり、勤務時間に制限のある子育て中の女性にとって、正社員での復職はなかなか難しいものとなっています。やる気や才能があるのに、それではもったいない。ママが生き生きと働ける場所をつくらねば!と思いこの取り組みを始めました」

当初は、データの入力や封入といった単純作業や、低価格短納期という仕事からはじまったという。それが現在では、都内のインターネット関連会社から、子育て情報サイトの記事執筆の仕事を受注するまでになり、スタッフの数も増えた。また、ママカラでスキルを身につけ、他の企業で働くようになった、いわば卒業生も出ているのだそうだ。

  • カフェのようなほっこり空間のオフィス。様々なタイプの席を自由に使い分ける

  • 代表の井上さん。ご自身も子育て中のパパだから、子育て世代の就労の大変さがわかる

手厚い研修とチーム制の採用で
顧客の信頼を得る

「私の仕事は、みんなが気持ちよく働けるための基盤をつくる仕事です」と語るのは、ママカラの立ち上げから関わってきた高木奈津子(28)さん。東京の人材サービス会社で、転職支援の仕事をする中で、応募者の条件やスキルと企業の求める人材のミスマッチに直面。何か良い解決策はないか思案していたという。そんな折、かねてより縁のあった井上代表が子育て世代女性のサポートプロジェクトを始めると聞き、自ら手を挙げ、東京から上田へ移住してきたのだ。
「ママカラの特徴は、チーム制と研修制度です」子育て中の女性は、子どもの急病などで休むといったイレギュラーな事態が起こりがち。そういったリスクの回避やお互いが補い合いながら仕事をする中で、メンバー同士の強みに気づいたり、学びを得られるとチーム制の魅力を語る。

もう1つが独自の研修制度。記事を執筆しているライターは、元々ライティングや編集の仕事をしていた人ではなくハナラボで育てているのだ。そこでは、記事の書き方といったテクニカルな要素に留まらない。自分たちの書いた記事が、お客様にとってどのような存在なのか、読者にとってどう役立つ記事なのかといった、仕事をする上でのマインドの部分にまで踏み込んだ研修だという。もちろん、この研修のコストはハナラボ負担だ。一見、回り道のような気もするが、「はじめにしっかりと教育をすることが、仕事への取り組み方や質も高まる最短ルートなんです」と井上さんは語る。
そして実際この取り組みは、顧客からの信頼を勝ち取り、結果として順調に受注が増えてきているとのことだ。

ご自身の結婚はまだ…。という高木さんだが「私の時は自分の子どもをここで見てもらって、どんどん外に出てこの取り組みを広げていく仕事をしていきたいです」と夢を語る。

  • ママカラ運営の高木さん。若いながらスタッフと顧客との架け橋となる重要な存在

  • 業務スペース。チームでコミュニケーションを取りながら仕事が進められている

  • 研修の様子。東京の顧客自らが訪れ、説明会を開催していることからも信頼の高さが伺える

託児所完備がもたらす
ママの理想の居場所

お昼時、ママたちが子どもに料理を食べさせながら談笑している。お洒落なカフェでのランチ風景かと思いきや、ここはオフィスだった。 このビルの2階には従業員のための託児所が設けられていて、1歳から3歳までの子どもを低料金で預けながら仕事ができる。朝夕も一緒に出退勤でき、何かがあってもすぐ様子を伺えるというのは、ママにとってはとても安心できる職場だろう。
「仕事中にも、お散歩に行く子どもたちがフロアを通ったりと、子どもに癒されることもありますし、 子育て中のママという同じ立場の方がたくさんいるので、いろいろ情報交換できるのもここの魅力のひとつです」と語るのは、結婚を機に上田市に移り住み出産を経験、ママカラ開始当初からスタッフとして加わり、ご自身も子どもを預けながら仕事をしてきた柴田美奈さん(33)。「ママが働いている姿を身近で見ることで、子どもも何かを感じ取ってくれると思います」
HanaLab. UNNOは、仕事の場であるとともに、働くママの交流の場にもなっている。そして未来を担う子どもたちにとっても、貴重な体験の場。これはコワーキングスペースを出発点とし、人と人とを結びつけコミュニティを形成してきた、ループサンパチならではの成せるワザ。

「地方には、まだまだ働きたい女性がたくさんいます。ここには上田市だけでなく近隣の市町村から通って来ている人もいるので、今後は県内にサテライト的に増やしていく予定です。そしてその流れを長野県だけでなく全国に広げていけたらと思っています」と井上代表は語る。

日本の労働環境が抱える「女性活躍」と「地方創生」という2つの大きなテーマの解決。長野県第三の都市上田市で、ママの働き方の模索から始まった解決法が、これから大きく花開こうとしていると感じた。

  • ランチタイムは、子供と一緒のお弁当。仕事モードへの切り替えが…。という贅沢な悩みも

  • 2階にある託児スペース。専任の保育士を抱え現在約17名の子供を預かる

  • 第2子出産を控える柴田さん。育休後に「ここに戻ってママの働く姿を子どもに見せたい」と語る

企画・取材・執筆・撮影・デザイン・コーディング/アトリエあふろ

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