主婦やシニアの方の活躍創出部門

エントリーNO.09

お菓子がはぐくむ、笑顔の連鎖
地元を愛し、愛される理想郷の実現

<ふるさと名品>

かりんとう

<商品の入手・問い合わせ先>

FAVORI PLUS

TEL 093-473-0023
http://www.sweets-favori.jp/

菓匠 きくたろう

TEL 093-474-6006
https://www.kikutaro.net/

<会社概要>株式会社 しんこう
〒800-0215 福岡県北九州市小倉南区上曽根新町13-3
TEL 093-473-8123(代表)
http://www.petit-shinko.co.jp/
<事業概要>菓子・飲料製造卸販売

株式会社しんこう 代表取締役

越野修司さん(69)

福岡県北九州市出身。大学卒業後の1972年、父である先代の越野菊太郎氏が社長を務める真光製菓に入社。菓子製造卸業として、どんど揚げやドーナツ等の油菓子をはじめ、どら焼き等の焼菓子、企業買収によるポリジュースの製造販売など業容を拡大。2009年には製造直販にも参入。「北九州スイーツヴィレッジ構想」を掲げ、「地域貢献」「食育」「子育て」等の視点を取り入れ、日本一働きやすいお菓子屋さんを目指している。

お客様の目の前でお菓子をつくる
製造直販への参入で、笑顔を直接体感

12月の平日お昼時、シンプルモダンなインテリアで彩られたカフェは、地元産の新鮮な野菜をふんだんに使ったランチ目当てで集まった女性客で賑わっていた。北九州市小倉南区にある和菓子店、“菓匠きくたろう”に併設された“KIKUTARO Café”。
駐車場を見ると、地元ナンバーのみならず、福岡や大分、下関などの車も見受けられる。この様子は、50mほど離れたところにある系列の洋菓子店“ファボリ プリュ”でも同様で、美味しいお菓子や料理を求めわざわざ遠方からも足を運んでいるのだ。

「土日になると、ファミリーのお客様がたくさんいらっしゃって、様相ががらりと変わります」と教えてくれたのは、両店舗を運営する株式会社しんこう代表取締役越野修司さん。
しんこうは1954年創業。かりんとうの製造販売を皮切りに、せんべいやどんど揚げ、ベビードーナツ、焼き菓子、ポリジュースなどのお菓子を製造し、全国のスーパーなどで販売したり、他社へOEM供給している会社だ。

菓子業界では、ここ数年市場規模自体は横ばいなものの、小規模経営や個人営業の菓子店はどんどん減少しているという。大手企業チェーンの拡大や、コンビニスイーツの台頭によって、いわゆる街のお菓子屋さんが減少しているのだ。そんな状況の中、「しんこう」は直販に打って出た。
「我々は『おいしさで笑顔をつくる』を企業理念にしています。お客様の目の前でお菓子をつくり、そのお菓子でお客様が喜ぶ顔を直接観たいという思いから、8年前“FABORI PLUS”を立ち上げました。また、お客様から創業時のかりんとうを懐かしむ声を数多くいただき、その期待に応える思いで昨年、“菓匠きくたろう”をオープンさせました」(越野さん)。

“菓匠きくたろう”の店内にずらりと並ぶ、色とりどりの和菓子。とりわけ、「しんこう」の原点ともいえるかりんとうは、創業当時の味「小柳」をはじめとして、いちご、紫芋、黒糖、抹茶など、彩りあざやかな定番商品に加え、明太子や有明海苔、藻塩といった他店では味わえないような変わり種まで、約20のラインナップが並ぶ。
「かりんとうの生地には、地元福岡県の小麦を使用し、いちごや明太子、抹茶も福岡県、紫芋は鹿児島県、ゆずは宮崎県、藻塩は長崎県など、九州地域から厳選した素材を使っています」と越野さん。「地産地消」にも一役買っている。
また、1袋を小さい食べきりサイズにし、価格を抑えることで、選ぶ楽しみだけでなく、買う喜びに上手くつなげている。現にお客さんの大半は、いろいろな種類のかりんとうを選び、買い求めていくという。
「オープンして1年。今では週に何度も来ていただく常連さんもできましたし、ご進物等で使っていただけることも多くなりました」(越野さん)

かりんとうという、よく言えばなつかしい、悪く言えば古めかしいお菓子を、「味のバリエーション」「ほどよいサイズ感」「手頃な価格」「洗練されたデザイン」といった、新たな切り口でリノベーションすることで、昔からのファンだけでなく、若い人にも「食べたい」「買いたい」「贈りたい」と思えるものに進化させたのだ。

  • 多彩な種類を誇るかりんとう。明太子など甘くない商品も人気だという

  • こだわりを感じられる洗練されたパッケージデザイン

  • 工場で生産され、全国で売られる商品の数々

柔軟な勤務シフトと、
温かい人間関係が生む働きやすさ

“菓匠きくたろう”では、元々ファンだったという人が数多く働いている。笑顔あふれる接客が素敵な工藤舞衣子さん(33)もその1人。「”ファボリ プリュ”が大好きて、私もこんな店で働きたいなと思っていたところ、”菓匠きくたろう”のオープニングスタッフ募集を見て応募しました」小さなお子さんを持つママさんである工藤さんの入社前の心配事は、勤務シフトのことだったいう。「子供のことで、勤務時間が限られたり、突発的な休みが発生するのですが、ここでは個々の事情に応じた働き方を認めてくれているので、無理なく続けられています。
それに、他のスタッフの方もいい方ばかりで働いていて楽しいんです」(工藤さん)

ここで働くことが楽しいと語るもう1人は、菓子の製造に携わる髙木知子さん(68)。入社約1月の新人さん。「いくつになっても挑戦する気持ちを持っていたい。採用していただいたことへの恩返しのつもりで、頑張っていきます」(髙木さん)

全従業員約120名の7割超が女性だという「しんこう」にとって、女性は大切な戦力だ。
個々の状況に応じたシフトで働けることはもちろん、やる気と実力があれば、定年を過ぎても働けるという。そして正社員、パートに関係なく意見やアイデアを出し合える機会があるのだとか。
「ここでは、パートの私でも意見を出すと、上司が聞く耳をもって受け止め、対応してくれることが、すごいって思います」(工藤さん)。また、企業理念や社会人としてどうあるべきかということを話し合う研修や勉強会を開くなど、社員教育にも力を入れているという。

「最初の1週間を過ぎた頃、覚えることも多くて、少しつらいと感じる時期もありましたが、他のスタッフの方が『がんばってますね。慣れてきましたか?』と声をかけてくださって。私のことを気にかけてくれているんだってことが嬉しくって」(髙木さん)
この話を聞いた後、髙木さんと社内を歩いていると「髙木さん、仕事は順調ですか?寒くなってきたから、体に気をつけながら無理しないでがんばってね」と社長の奥さまから従業員を気遣うあたたかい声がかかった。これぞ、「しんこう」の真髄なのだ。

  • スタッフがいい人ばかりで働きやすいと語る、接客のプロ工藤さん

  • 明るく開放的なKIKUTARO Cafe店内

  • シニアでもやれるという、勇気を与える存在でありたいと語る髙木さん

笑顔溢れる理想の場を実現する
北九州スイーツビレッジ構想

店舗、工場が集まるこの地域を「観て、食べて、遊んで、くつろぐ」場にすることを目指し、現在取り組んでいるプロジェクトが「北九州スイーツビレッジ」。
「計画中のドーナツの新工場では、製造工程が見られる通路を作ります。子どもたちに工場見学に来てもらったり、お菓子作り教室を開くことも考えています」と越野さん。お菓子を通じた「食育」が行われる。

「3年をめどに敷地内に保育園の新設を目指しています。従業員の子供を半分、残りは地域の方を受け入れます。従業員に安心して働いてもらう「子育て支援」でもありますし、「地域貢献」にもなると考えています。」(越野さん)

この他、近隣の空き地でいちごやプルーベリーなどのフルーツなどを栽培し、それを菓子に利用するという「地産地消」の構想もあるのだとか。

これらが完成すると、ここに人が集まり「交流」の場ができ、「観光」の場ともなる。お菓子という軸が様々な可能性を生み、そこに集う人々を笑顔にする。そんな理想郷がもうすぐ誕生しようとしている。

取材中、従業員の方から多く聞かれた「きちんとした会社」「働きやすい」「いい人が多い」という言葉が印象的だった。
「ウチでは特別なことなんてしていない」と謙遜する越野さんだが、「しんこう」には人や地域を大切にする風土がある。これは、越野さんをはじめとした経営陣、従業員が、正しく誠実に商売を積み重ねてきた賜物。その姿勢がお客様に喜ばれる商品や接客につながり、さらにはファンとなった人が入社してくるという好循環になっているのだろう。この北九州の地で、地元を愛し、地元から愛される企業の究極の姿に出会った気がした。

  • お客様の目の前で菓子が仕上がるライブ感もウリの1つ

  • バウムクーヘンなどが人気の“ファボリ プリュ”は九州では抜群の知名度を誇る

企画・取材・執筆・撮影・デザイン・コーディング/アトリエあふろ

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