主婦やシニアの方の活躍創出部門

エントリーNO.02 キングパン協業組合

シニア、主婦、若者の多世代でつくる
思い出いっぱいの給食パン

〈問い合わせ先〉

キングパン協業組合
TEL 0565-21-0181
http://www.kingpan.jp/

〈会社概要〉キングパン協業組合
愛知県豊田市広美町北繁1-1
TEL 0565-21-0181
〈事業内容〉学校給食パン米飯委託加工、給食パン・菓子の製造販売、各種パン・米粉パン・和洋菓子の製造販売

キングパン協業組合

理事長 倉橋良幸さん(38)

愛知県豊田市出身。大学院を卒業後、大手広告会社に勤務。31歳のときに豊田市に戻り、父親が代表を務めていたキングパン協業組合にて給食パン・米飯の委託加工事業、製造販売事業に携わる。33歳で同組合の代表理事に就任。愛知県産の米を使った米粉パンなど、地域の子どもたちに愛されるパン・米飯づくりに尽力している。

一日5万食以上の給食主食を製造
キングパンで元気に育つ子どもたち

午前10時。愛知県豊田市にあるキングパン協業組合のパン工場では、ロールパンが次々焼き上がっていた。長いトンネルのようなオーブンに何百個ものパンがずらりと並び、ゆっくり移動しながら焼成されていく光景は、こうばしい香りも手伝って大人でもワクワクする。ふっくらときつね色に焼き上がったパンは、一つひとつ人の手と目で検品されて運搬用のトラックへ。行き先は地元の小中学校や幼稚園・保育園である。

複数の個人店で手掛けていた地域の給食の主食づくりを効率化させようと、現理事長・倉橋良幸さんの曾祖父が創業した和洋菓子店「林軒」を含む4つの個人店で、キングパン協業組合を設立したのは1970年のこと。2011年に代表理事となった倉橋さんは、初代理事長の祖父、父親に続く3代目となる。

同組合では豊田市を始め安城市、知立市、西尾市の一部など西三河地区の学校・幼稚園に給食パンと米飯を提供しており、その数、実に5万食以上。この地域の子どもたちの多くは、キングパンのパンを食べてすくすく育っているということになる。さらには、その子どもたちの親世代にもキングパンを食べて育った人が大勢いるのである。

中でも、地産地消の観点で地元産の米を使った米粉パンは、先代からつくり始めた同組合のヒット商品。市販の米粉パンは、米粉の割合が20~50%のものが多い。米粉だけでは十分に膨らまないためだ。しかし同組合では85%という高配合でつくる。もっちりと引きのある食感と餅のような甘みでたちまち大人気となり、保護者たちからの要望に応え、2年前から地元のスーパーなどで市販もスタート。キングパンはこのエリアの人々にとって、非常に身近で親しみのある存在なのだ。

  • 理事長の倉橋良幸さん。大手広告会社に7年勤務したのち退職し、家業を継いだ

  • 地産地消への意識が高く、地元産の小麦や米を使ったパンを多く製造している

人材不足×早朝出勤
雇用課題に光を差したシニア世代

午前11時30分。パン工場には機械を丁寧に掃除する安藤幸夫さんの姿があった。安藤さんは中学を卒業後、キングパンに就職。60歳で定年退職後は80歳定年の再雇用という形で働いており、現在78歳。勤続62年の大ベテランだ。別の企業を定年退職した後、「違うジャンルの仕事がしたい」と働き始めた河本光恵さんは63歳である。キングパンには2人のような60歳以上の従業員が組合員・アルバイトを含めて20名近くいる。

製造業が盛んな豊田市では、そのほかの事業者は人材確保に苦戦しがちな側面がある。その傾向は製造業の景気がよければよいほど顕著で、倉橋さんが代表となった2011年以降は、まさに「募集をしてもなかなか応募いただけない」状況が続いている。特に、工場勤務の早番は4時30分や5時という早朝の出勤時間が影響し、若い世代からの応募が少ない。採用できたとしても、離職率が高いという課題を抱えていた。

そんな中、遅刻もなく毎朝きっちりと出勤し、定着率も高いのがシニア世代の従業員だった。倉橋さんはシニア世代の魅力をこう語る。「今の60代、70代は元気です。定年退職後もまだまだ働けるし、働きたいという方がたくさんいる。長年の社会人経験から忍耐力もあり、しっかりと仕事をしてくださいます」

現在、シニア従業員の多くは早朝からの勤務を担当し、お昼過ぎには仕事を終えて帰っていく。就業時間が4時30分~午後1時(休憩1時間含む)という安藤さんいわく、「帰ってもまだ午後1時過ぎ。日が高いうちから庭の手入れや家のことができていいですよ」。河本さんも「友人と明るいうちから会えるのがいいですね」と笑顔。若い従業員ともプライベートで一緒にランチを楽しむなど交流があり、いい刺激をもらっているという。

  • 成形されたパン生地は大きなオーブンで焼成。こうばしい香りが食欲をそそる

  • 「大切な家族に食べてもらう」気持ちで、焼き上がったパンを一つひとつ丁寧に検品

  • 米粉パンは地元産の米を使用。もっちりした生地は噛むほどに米の甘みが引き立つ

「大好きなキングパンで働ける」
若者、主婦、シニアが交流する温かな職場

キングパンの製品を日々食べている子どもたちの親、つまり地元の主婦層も、同組合の従業員の大きな割合を占める。

先述の通り、キングパンは給食の主食製造がメイン事業。それゆえ夏休みなど子どもたちの長期休暇中は仕事量が少なく、人員過剰になる。とはいえ、「夏の1カ月間だけ休んでください」という雇用者側の要望に応えてくれる働き手はそうはいない。だが幼稚園・保育園、小中学校に通う子どもを持つ主婦ならば「子どもが家にいる長期休暇中は、仕事を休んで子どもと一緒にいたい」と考える人が多いのである。

「シニアも、主婦も、我々事業者側のニーズと働き手のニーズが合う貴重な働き手です。しかも、どちらも責任感があって安心して仕事をお任せできます」と倉橋さん。だからこそ、「気持ちよく働いていただきたい」と、学校行事などによる休みや遅刻・早退の希望は細やかに対応し、体を休めたり、仕事仲間と囲碁や将棋を楽しめる休憩室を設けるなど快適な就業環境づくりに努めている。

「私自身、小学生のころに食べていたパンなんです」と懐かしそうに話すのは、2人の小学生の子どもを持つ吉田亜由美さん(42)。同じく小学生の子どもを持つ石川真由美さん(42)も「子どもが給食でお世話になっているので親近感がありました」と、志望理由を語る。いずれも早上がりのシフトで子どもが帰宅するときには家にいられることが魅力だった。しかし、同組合で働く主婦たちの間には「給食で食べていたここのパンが大好きでした」と、キングパンに特別な思いを寄せる人が多い。

倉橋さんは言う。「パンづくりはチームワーク。生地をこねる人、検品する人、みなさんそれぞれのいい仕事があっていいパンができます。経験、スキルのあるシニア世代を始めとする多世代が交流することで、これからもずっと、安全・安心でおいしいパンを提供し続けていきたいですね」

今日も豊田市の工場では、大好きなキングパンで育った主婦や若者が、キングパンを成長させたシニアから技術を学びつつ、未来を担う地元の子どもたちのためにキングパンをつくっている。

取材・撮影・デザイン・コーティング/アトリエあふろ
ライティング/アトリエあふろ(富成深雪、岡本靖正、佐藤福子)、N2(小野剛志)、川島 剛、永田知子

  • 安藤幸夫さんは勤続62年のベテラン職人。安全でおいしいパンをつくり続けている

  • 地元の主婦の従業員も多数。子育てや家事の都合に柔軟に対応してシフトを組む

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