主婦やシニアの方の活躍創出部門

エントリーNO.04 有限会社こんせい

経験豊かなシニアスタッフの力を借りて
鳴海絞りなるみしぼりの新たな魅力を発信!

〈商品の入手・問い合わせ先〉

有限会社こんせい
TEL 052-624-0029 / FAX 052-622-6182
http://shiborikonsei.com/

〈会社概要〉有限会社こんせい
愛知県名古屋市緑区鳴海町字下中21
TEL 052-624-0029
〈事業内容〉伝統工芸鳴海絞り、刺繍手加工品、婦人服や雑貨の製造・販売、絞り染めワークショップ

有限会社こんせい

取締役 近藤泰仁さん(46)

大正6年(1917)に、伝統工芸鳴海絞りを主業として祖父・近藤清一が創業。3代目となる泰仁さんは、平成6年(1994)に父が社長を務める有限会社近清商店に入社する。平成24年(2012)に、従来より若年をターゲットとした商品開発・ブランド化を目指し、有限会社こんせいを設立、社長就任。ワークショップなどを通じて鳴海絞りの魅力を発信する。

伝統工芸も変わらないと!
新たな会社設立でスタート

祖父の代に創業し、2017年でちょうど100周年。国の伝統工芸品にも指定される鳴海絞りを守り継ぐ。そもそも鳴海絞りとは、名古屋市緑区鳴海町を中心に400年以上前から始まった絞り染めのこと。知多や三河といった木綿産地に近かったこともあり、絞り染めの浴衣や手ぬぐいが作られてきた。江戸時代には東海道五十三次40番目の宿場として栄え、色鮮やかな絞り染めは行き交う人々の手土産として重宝されたのだとか。

近清商店では、大きく分けて2タイプの絞り商品を扱ってきた。1つは、伝統的な絞り染め。木綿を糸や専用の台を使って括(くく)り、これを括りが外れないよう注意深く染色することで、括りの箇所だけが防染され絵柄ができる。図案作りから括り、染色、糸抜き、仕上げと、仕事は分業制で行われ、今もすべて手作業だ。

もう1つは、括りによる立体化に着目したプリーツ生地のもの。泰仁さんの父・典親さんが、長年の研究開発を経て考案したもので、ポリエステルに括りを施し熱加工することで凹凸を作り出した生地は、驚くほど伸縮性・弾力性に富み、どんな体型の人にもフィットする。そのため、主に婦人服を中心としたアパレル業で用いられてきた。

後者の商品は時代のニーズに合致し、20年ほど前からアパレル向けの生地製造・加工から製品化までを注文に応じて担ってきた。しかし、ファストファッションの潮流もあり、生産は徐々に右肩下がりに。そこで、「より若年層や海外客をターゲットにした商品開発を行うべく、2012年に有限会社こんせいを設立したんです」と泰仁さん。こうして、奥さまの弥栄子さんと二人三脚で、新たな取り組み「しぼり研究所」がスタートした。

  • 3代目の泰仁さん。伝統工芸をより身近なものとすべく、商品開発や活動に尽力する

  • 括りの技術習得に留まらず、本藍染めなどにもチャレンジする奥さまの弥栄子さん

絞り染めワークショップが
ベテランシニアの新たな活躍&活力の場に

「しぼり研究所」として商品化したしぼりグッズは、手ぬぐいやクッションカバー、ストール、Tシャツ、キャンバスバッグなど、従来の製品ラインナップにこだわらず考案。ユニークなデザイン、多彩な絵柄、鮮やかな色味が特徴で、手染めのためひとつとして全く同じ商品がないのも魅力だ。また、絞り染めだけでなくポリエステルの立体加工と伸縮性を活かしたシュシュなども開発、好評を博している。

「次第にバイヤーさんの目にも留まるようになってきて。名古屋城本丸御殿に、2016年10月にオープンしたミュージアムショップでも商品を置いていただいています」と泰仁さん。新しい商品の販路が徐々に拡大しつつあり、手応えを感じるとともに、伝統工芸品をもっと身近に楽しめる存在とするべく、新たな可能性を模索している。

その一環としてスタートしたのが「絞り染めワークショップ」だ。先代の頃から小学校を中心に絞り染め体験教室は行ってきたが、より多くの人に知ってほしいと百貨店での催事や企業でのイベント、クリエイターズマーケットなどでも、新たに手ぬぐいの絞り染めワークショップを実施するように。ここで活躍するのが先代の頃から働くシニアの女性パート。なにせ、絞り染めに関してはベテラン中のベテラン。しかも、小学生を中心とした子どもの扱いに関しても、一日の長がある。「名古屋弁でね、孫の面倒を見るように。本当に助かってます」。

体験教室やワークショップは、手伝うシニアにとっても大きな生き甲斐となっている。パートで働く鈴木多美子さん(66)もその1人。「子どもたちに町中で、絞りの先生!このあいだはありがとう!って声を掛けられたり。すごく楽しかったから、またやりたいって言ってくれたりね。やっぱり、子どもたちといろんな接点ができるのは楽しいですよ」。ワークショップは活動を始めてまだ1年足らずと期間は短いが、さっそく引く手数多。名古屋観光コンベンションビューローと協力し、バスツアーの受け入れも検討している。

  • 「女性中心の職場だったので、昔から楽しく働いています」と市岡知子さん(73)

  • 染めた生地が色落ちしないよう、60~80℃のお湯で洗いを行う鈴木多美子さん

  • ポリエステルに括りで立体加工を施したのがこちら。ふわふわの肌触りも気持ちいい

障がい者施設と協力しながら
次代への技術継承にも尽力

国内のほかの伝統工芸同様に、鳴海絞りでも技術の継承は大きな課題。特に、技術を要する括り手は、国内で若い担い手がほとんど育っていない。現在は海外の生産拠点、もしくは国内の高齢の括り手で、何とかしのいでいるというのが内実だ。

そんな中、「絞りが好きで取り組んでいる、絞りに興味があるという障がいのある方と縁あって知り合いまして。少しずつ、仕事の依頼ができないか模索を始めています」と奥さまの弥栄子さん。障がい者施設のスタッフの助けを借りつつ、2人の障がいのある方と向き合って、ともに仕事ができるように指導をしている。

1人は男性で、個人で技術を学び備えていたため、少しずつ仕事を発注しつつあるという。もう1人は未経験の女性。弥栄子さんが直接彼女へ技術の指導を行っている。「括りの技の習得は本当にゆっくり、ゆっくりです。でも、一生懸命。試作をスタッフさんが上手に商品にして、施設で販売したりして。そういったことも、彼女のモノづくりのモチベーションにもなっていると思います」。技術の伝達と雇用のマッチング。今までにはなかった障がい者の活躍の場も生まれつつある。

将来的には「鳴海絞りの技術を国内に残し、関わる人みんなが仕事として成り立つ産業にしたいですね」と泰仁さん。そのための取り組みはまだ始まったばかりだが、少しづつ、一歩一歩確実に前進している。

取材・撮影・デザイン・コーティング/アトリエあふろ
ライティング/アトリエあふろ(富成深雪、岡本靖正、佐藤福子)、N2(小野剛志)、川島 剛、永田知子

  • こちらが絞り染めの一例。同じ絵柄でも、一つひとつ表情が異なるのも魅力だ

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