主婦やシニアの方の活躍創出部門

エントリーNO.06 株式会社 響

おいしさに自信あり。
北の大地で野菜づくりを支える主婦パワー

〈商品の入手・問い合わせ先〉

株式会社 響
TEL 011-378-5585 / FAX 011-378-5586
http://hibiki-nanporo.co.jp/

〈会社概要〉株式会社 響
北海道空知郡南幌町南13線西21番地 
TEL 011-378-5585
〈事業内容〉水稲・畑作・野菜の複合経営

株式会社 響

代表取締役社長 立川久彦さん(49)

北海道空知郡南幌町出身。農家の3代目として生まれ、高校卒業後は北海道内の短期大学で農業経済を学ぶ。その後、父親とともに農業に携わり、35歳で農業生産法人を設立。米、小麦に加え長ネギ、キャベツなどの野菜も幅広く手掛ける。現在は5名の役員と3名の社員のほか、春~秋は期間限定のアルバイトを雇用し、多忙な収穫シーズンを乗り切っている。

個人経営から企業経営を目指して法人化
133ヘクタールの広大な農場へ

東京ドーム約28個分。立川久彦さんが代表を務める農業生産法人 株式会社 響の経営農地の面積だ。立川さんは北海道札幌市の東に位置する南幌町で、農家の長男として生まれた。誰にいわれるでもなく18歳のころから家業を手伝い、短大で農業経済を学んだ後は本格的に農業に携わるようになった。しかし、父親が引退すると1人で農業を続けることに限界を感じ、4名の仲間とともに農業生産法人の設立を思い立つ。農業にかかわり始めて17年、立川さんが35歳のときだ。

立川さんは法人化の経緯をこう話す。「生計を成り立たせられる規模の農業を1人でやるのは難しいですが、個人農家ではなかなか人を採れないし、採用できても十分な待遇を提供できない。かといって、待遇を厚くするためにもっと手広くやろうと思っても、個人では取引上の信用に限界がありました」

かくして株式会社 響を設立した立川さんは農場を拡大し、社員を採用。祖父と父親の代は米、小麦が中心だったが野菜類も扱うようになった。約133ヘクタールある広大な農場は、初夏から晩秋にかけて米、小麦のほか、安定収入を見込みやすい長ネギ、南幌町の特産であるキャベツなど、見渡す限りの作物で埋め尽くされる。その雄大でのびやかな眺めは、「これぞ北海道」といわんばかりである。

  • 社長の立川さんは農家の3代目。35歳で農業生産法人を設立し、事業拡大した

  • 響が経営する農場は約133ヘクタール。野菜が大地を埋め尽くす光景は壮観

定着しないアルバイト
2年、3年と続けて来てくれるのは主婦だった

種まきや苗植えが始まる春先から収穫が終わる晩秋までは、響の繁忙期だ。常に何かしらの作物を出荷するために、どの野菜も少しずつ時期をずらして苗を植え、11月下旬まで順次収穫を行う。まさに大忙しで社員だけでは収穫作業が追いつかず、立川さんはアルバイトを雇用することにした。

だが収穫が終わると、農場が厚い雪に覆われる冬が来る。冬は冬でハウス栽培や雪対策、翌年の準備などの作業はあるものの、収穫シーズンに比べたら仕事量は少なく、人手の需要も減ってしまう。つまり、響がアルバイトを必要とするのは年間のうち約半年間のみ。働き手にしてみれば、残りの期間の収入を見込めない。必然的に年間を通じて安定収入を求める人は定着せず、せっかく仕事に慣れた人も翌年は来てくれないどころか、シーズン途中で別の仕事が見つかれば辞めてしまうこともあった。

そんな中、立川さんは2年、3年と続けて来てくれるのは主婦が多いことに気づく。主婦はほとんどが地元や近郊の人で、時間が空けば来てくれる。配偶者の扶養家族として収入を一定額以下に抑えたい人もおり、期間限定の農作業で得られる収入がちょうどいいという事情もあった。

「彼女たちなら、会社と働き手のニーズが合致するのでは」。そう考えた立川さんは、出勤日数や就業時間を主婦ひとり一人の希望に柔軟に合わせた。期間限定のアルバイトは次第に主婦が増え、今では繁忙期をしっかり支える人材となっている。

  • 収穫で忙しい春~秋はアルバイトを雇用。スタッフは30人以上になる

  • 冬の農場は一面の銀世界。繁忙期を支える主婦の中には立川さん夫妻のママ友もいる

  • キャベツの収穫。初夏の日差しの中の作業は大変だが開放感があり、のびのび働ける

お母さん仲間と助け合い
大地とともに生きる喜びを知る

「とにかく融通を利かせてくれます。休みも自由にとれる。だから長く続けられるんです」。繁忙期の農作業にアルバイトとして参加して14年目になる主婦の五十嵐晴美さん(49)と宇野馨さん(49)は、口をそろえて言う。「子どもが幼稚園児だったころは15時に上がっていました」と宇野さん。子どもが急に体調を崩して休む人がいれば、誰かが快く仕事を引き受ける。11年目の渡辺祥子さん(47)は、「似たような環境のお母さんが多くて心強かったですね。社長も私たちの子どもと同年代のお子さんがいるので、小さな子どもが突然熱を出すなどの事情はよく理解してくださいました」と振り返る。

3人とも、初めての仕事はキャベツの収穫だった。花のように広がる葉の中央に鎮座する、丸々太ったキャベツはずっしりと重い。初夏の北海道の直射日光を浴びながらの作業は大変だ。「最初のうちはきつかったですね」と言う宇野さんだが、今ではすっかり体力がついた。五十嵐さんは「体を動かすのは気持ちいいですよ。ダイエット効果も期待できそうです」と笑う。

年月が経ち子育てが一段落すると仕事をできる時間が増え、3人とも種まき、収穫などの一連の仕事を任されるようになった。種から双葉が出て、本葉が出て、成長していく過程を見るのが楽しくてしかたないという。2年目の片山恭子さん(47)は生まれ育った東京を5年前に離れ、夫の実家がある北海道に移り住んだ。最初は慣れない土地での生活に馴染めなかったが、響の農作業で作物や大地に触れ、自然の懐の深さを知って気持ちが変わった。「職場で仲間ができたことも嬉しい。本当にいい方ばかりで、響のみなさんのことが大好きです」と目を輝かせる。

「採りたてのキャベツは芯までおいしいんですよ。甘いんです」。野菜に対する彼女たちの姿勢は真剣そのもの。つくった野菜のおいしさには自信がある。立川さんは、2016年から試験的に玉ねぎをつくり始めた。長期保存がきく利点を生かして冬に玉ねぎの出荷作業を行い、希望する主婦には年間を通して活躍の場を提供する。それが、現在の立川さんの目標だ。

取材・撮影・デザイン・コーティング/アトリエあふろ
ライティング/アトリエあふろ(富成深雪、岡本靖正、佐藤福子)、N2(小野剛志)、川島 剛、永田知子

  • 行きつけのお店で食事会を楽しむことも。仕事や子どものことなど話は尽きない

  • お話を伺った主婦のみなさん。同年代で子どもの年齢も近く、すぐに打ち解けた

  • ハウス栽培のほうれん草。冬の仕事を増やし、希望者に通年雇用を提供するのが目標

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