主婦やシニアの方の活躍創出部門

エントリーNO.07 NPO法人みしまですよ

ベテラン主婦たちと守り、育てる
島の未来を担う「大名筍だいみょうたけのこ

〈商品の入手・問い合わせ先〉

NPO法人みしまですよ
TEL 050-3713-3404 / FAX 09913-2-2053
http://mishima.link/?page_id=4878

〈会社概要〉NPO法人みしまですよ
鹿児島県鹿児島郡三島村竹島2
TEL 050-3713-3404
〈事業内容〉地域資源を活かした特産品の開発・加工・販売支援事業・観光振興・地域活性化事業

NPO法人みしまですよ

理事長 山﨑晋作さん(33)

鹿児島県三島村竹島出身。三島村は、竹島、硫黄島、黒島の三島から成る人口370人余りの村。山﨑さんは、竹島で生まれ育ち中学卒業とともに島を出て鹿児島県内の高校へ進学(島内には高校がない)。その後東京へ行き、鹿児島市内でパソコン講師を務めたのち2014年にUターン。NPO法人「みしまですよ」を立ち上げ、島の活気を取り戻すべく奮闘している。

人口減少が進む竹島を
以前のように盛り上げたい

鹿児島港からフェリーで3時間ほど南下すると、透明なマリンブルーの海に囲まれた小さな離島に到着する。竹島という名の通り島全体が大名竹のすがすがしい緑に覆われ、なだらかな丘陵地の放牧場では黒牛がのんびりと草を食む。空は高く、海は広く、釣りやダイビングで南の島の自然を存分に謳歌したい美しい島である。

しかし、子どもの誕生を機に竹島にUターンした山﨑さんは、島の将来に危機感を持っている。1965年は約160人だった人口は、2016年現在は約80人に半減。島内の小中学校の子どもは14人だが、その多くが県内外からの留学生や学校に赴任してきた先生の子どもで地元の子どもは2人のみ。このままでは廃校にもなりかねない状況だ。

もし学校が廃校になれば、今いる学校関係者の仕事がなくなり、場合によっては人口が一気に半数近く減ってしまう可能性がある。山﨑さんは、島の将来のためには学校の存続が必須であり、小さな子どものいる家族が安心して生活するための雇用拡大は急務と考えた。

そこで着目したのが、島の特産である大名筍(だいみょうたけのこ)だ。大名筍は三島村の竹島、硫黄島、黒島の各島に自生する筍で、香りがよくて灰汁(あく)がなく、刺身でも食べられるのが特徴。灰汁抜き不要で煮ても焼いてもおいしく、和洋中どんな料理にも合う。山﨑さんは「筍の王様」ともいわれる大名筍をブランド化して全国に広め、島の産業活性につなげようと思い立ったのだ。

  • 竹島は鹿児島港から約94km南に位置する。島全体を覆う竹林の豊かな緑が美しい

  • 竹林に自生する大名筍。国内に多く流通する孟宗筍と異なり、細いのが特徴だ

  • 灰汁がなく、濃厚な味とシャキシャキした歯ごたえ。甘さを堪能できる刺身は絶品

竹林を熟知したベテラン主婦は
筍採りの重要な戦力

毎年5月ごろから約1カ月間は、竹島の筍採りシーズンだ。期間限定ゆえ生計を成り立たせる職にはなりにくいが、それでも、貴重な副収入として筍採りに参加する島民は多い。

大名筍は国内の広範囲で流通している孟宗筍(もうそうだけ)よりも細く、地面から出ている部分をぽきぽきと手で折って採る。単純なようだが、籠を背負って山の竹林の中をかきわけて行う作業は重労働だ。筍がいっぱいの籠の重さは20~30kgあり、小学生の子どもを背負って山中を歩くのと変わらない。「最近は歳をとったから膝にくるの(笑)。でも昔から筍採りが好きでね。大名筍は何といってもおいしいから、鹿児島市内に住む娘や孫たちにも食べさせてあげたくて」と話してくれたのは、20代で島にUターンしてから毎年筍採りをしている安永久美(やすながひさみ)さん(67)である。

現在、筍採りに参加する10数名のうち、安永さんのような50~70代主婦は5~6名。彼女たちの大半は畜産や年金で生活しているが、シーズンになると筍採りで副収入を得る。2016年は山﨑さんの活動で島外の若者たちが参加したものの、採った量が一番多かったのは安永さん。慣れない人は竹林を歩くだけで一苦労。日々あっという間に成長する筍をベストなタイミングで採るには、自生する場所を探る勘どころや手際のよさがものをいう。

期間限定収入であることや、重労働に対し十分とは言い難い収入もネックになり、筍採りの人材確保は思うように進んでいない。だが、肝心の大名筍がなければ筍による島の産業活性も見込めない。「筍採りのスペシャリストともいえるベテランの主婦の方々は、とても重要な戦力なんです」と山﨑さんは話す。

  • お話を伺った安永久美さん。大名筍が大好きで、毎年筍採りに参加する

  • 毎年5月から6月は筍採りのシーズン。筍は丁寧に選別し、一級品だけを出荷する

自生量減をくいとめ
青果用筍に未来を見出す

産業活性の要となる大名筍だが、「昔に比べると筍が減りました。自生している量も少ないし、竹林が荒れていて『あそこにある』とわかっても採りに行けないことも多いんです」と安永さん。「筍は採った分が自分の収入。いいときは月間で40万円くらいになったけど、今はその1/3くらいね」

山﨑さんは、NPO法人「みしまですよ」を立ち上げ、地元の組合(竹島筍振興会)の役員にも就任。筍採りを支えている彼女たちに十分な収入を得てほしいとの思いもあり、竹島産大名筍の9割を占める缶詰用の価格を見直し、2016年は2015年の2倍に引き上げた。これだけでも彼女たちの収入は上がったが、青果用なら硫黄島の大名筍はその3倍、十島村のものは5倍はするというから、缶詰用では売上増に限界がある。

高値で売れる青果用大名筍のブランド化と、販路拡大もしなくては──。そう考えた山﨑さんは、ウェブサイトで情報を発信するとともに、鹿児島、宮崎、東京などの都市部で大名筍の試食会を開催するなど精力的にPR活動を行った。その甲斐あって著名な料理人の目にもとまり、メディア取材も増加。ブランディングは順調に進んでいる。

同時に筍の専門家の協力を請い、自生量減少の一因ともなっている未整備の竹林の手入れも進めている。この作業も人材と資金が不足していたのではままならない。となればやはり、大名筍をもっと盛り上げ、「仕事がある、移住したくなる」島へと変革していかなくてはならない。

課題は山積しているが、山﨑さんは明るい。「これまで大名筍を支えてきた方が以前のような報酬を得て、移住してくる若い家族に仕事があり、誰もが楽しく暮らせる島にしたい。そうすればUターンやIターンの方も増え、島の活性化につながるはず。竹島には高校がないので、ほとんどの子どもたちは中学を卒業したら島を出ます。でも、彼らが島に帰りたくなったとき、戻れる場所をちゃんと残してあげたいんです」

取材・撮影・デザイン・コーティング/アトリエあふろ
ライティング/アトリエあふろ(富成深雪、岡本靖正、佐藤福子)、N2(小野剛志)、川島 剛、永田知子

  • 「みんなが楽しく暮らせる島に」と語る山﨑さん。休日は海で魚釣りなども楽しむ

  • 鹿児島、宮崎、東京などで大名筍を知ってもらうイベントを随時開催している

  • 大名筍の自生量減少は大きな課題。筍の専門家と調査を進め、竹林の整備にも着手

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